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執筆者の写真池上秀志

ストライドの真実

突然ですが、あなたはストライドの大きな走りにあこがれるでしょうか?

 

 私はとってもとっても憧れます。大きな走りでゆったりと走り、優雅に鼻歌でも歌いながら走りたいです。

 

 あるいは高校生の時にインターハイでみたケニア人留学生たちの大きなストライドのように羨望の眼差しで見つめられてみたいです。

 

 今回はそんなストライドの真実をお話させて頂きます。

 

 と、その前にオンラインスクールの受講生様より頂いた自己ベスト報告を皆様にも共有させて頂きます。

 

 お一人目は千葉智広様です。

 

「池上様


いつもありがとうございます!


昨日、トラックで5000mのタイムトライアルをしてPBとなる19分21秒で走れました!


7月末までに19分30秒切るのが目標でこの3ヶ月取り組んできましたが、先月出した19分51秒から30秒も更新出来ましたし、そもそもの始まりが20分25秒がベストタイムだったので1分縮められました!


仲間にペーサーをしてもらったことも大きいですが、何よりこれまでの池上さんの指導やアドバイスのお陰です!


講義動画「5000mのトレーニング研究」の11000円を回収出来た気持ちです(笑)


ありがとうございます!!


目標ペースに慣れるために量を少しずつ上げていき、最後にバチッと合わせるやり方の大切さを学ぶことが出来ました。


タイムトライアルの3日前に5000mを想定して3000+1000をやった時の感触が良かったのでイケるかなとは思いましたがまさかこんなにうまくいくとは思っていなかったので凄く嬉しいです!」


 それはもちろん、私もすごく嬉しいです。


 この短期間で5000mのタイムを約1分も縮めたことも素晴らしいですが、この暑さの中での自己ベストは本当に地力がないと出来ないことなので、本当に素晴らしいです。


 さて、次の報告は村上勇貴様です。


「こんばんは。


 遅くに恐れ入ります。村上勇貴と申します。


 このたび夏場のトレーニング論を購入させていただきました。


 昨年と今年にサブ3からサブ2.5の為のトレーニングレース4週間前完全攻略本を購入し何度も読み返しました!またそのときに池上さんとメールさせていただいて多くのアドバイスをいただけたおかげで、2/11無事姫路城マラソンで2:58:56でサブ3達成できました!


 距離走や調整の捉え方など私の現状に合った目線で考察いただきそれを実践しました。その勢いでで姫路城マラソンに照準を合わせ練習した結果、バシッとはまりました。池上さん、まぢ神がかってます(^^)


 きっかけが難しく御礼のご連絡が遅くなり申し訳ございません。秋以降のレースではサブエガを目指します!


 この夏場のトレーニング論を吸収し今夏の練習を有意義なものとして自身の成長に繋げたいです」


 という訳で、過分なおほめに預かり大変恐縮ですが、サブエガも是非是非達成していただきたいなと思っております。


 さて、今回の本題のストライドについてですが、ある方から以下のようなご質問を頂きました。


「素朴な疑問なのですが、ストライドを広げるには(無意識的に)はスキップが良いとよく耳にするのですが、例えばスキップを毎週100m10本とかをレペティション的に休息を取りながら実践していくと効果があるものなのでしょうか?


 それよりもストライドを広げる効果があるトレーニングってあるものなのでしょうか?


とゆうよりそもそもストライドを広げるより、体幹を鍛えたり練習メニューの内容であったりと、池上さんがよくおっしゃってるフォーム改善と同様で優先度としてはさほど高くないものなのでしょうか?


ご教示いただけますと幸いです。


よろしくお願いいたします」


 ストライドに関するご質問はちょくちょく頂くのですが、あなたはどう思われますか?


 これに対する私の回答は以下の通りです。


「逆にスキップがストライドを広げるのに役立つという話は私は初めて聞きました。スキップも色々なやり方があるので、高く飛んだり、なるべく遠くに飛ぶことを意識すれば役立つとは思うのですが。一般によく言われるのをバウンディングの方ですね。


 ただ、いずれにしても理解しておかなければならないことは、長距離走の場合はそういった練習は補強でしかないということです。


 どういうことかと言えば、関係性が逆でストライドが伸びるから速く走れるのではなく、速く走れるようになるからストライドが伸びるというのが長距離走、マラソンです。人間が走る速さはストライド×ピッチで決まります。


 短距離の場合は、タイムはストライド×ピッチをどれだけ大きくできるかでほぼ決まります。理由は単純で10秒間に生み出せるエネルギー量の限界と最大筋力の限界を比べた時に最大筋力の方がネックになるからです。10秒間であれば、もうちょっとエネルギーを生み出せるけれど、それに最大筋力が追い付かないのです。


 ところが、400Mつまり、時間にして50秒前後になってくると逆にエネルギーの方が影響し始めます。最大筋力を50秒間にわたって発揮することは人間は出来ないのです。そして、800M以上の種目になると生み出せるエネルギー量の方が大きくネックになってきます。


 最大筋力的にはピッチ×ストライドをもっと増やせるけれど、それを実現するだけのエネルギーが供給できないのです。


 その結果として、5000Mや10000Mのレースになると100Mのレースペースよりもはるかに遅いペースで走ることになります。この時、いくらスキップやバウンディングなどに取り組んでストライドを伸ばす練習をしたところで代謝能力が追い付いていなければそれ以上ピッチ×ストライドを増やすことは出来ません。


 そして、人間が無気的代謝によって生み出せるエネルギー量にはほとんど差がありません。つまり、後天的にトレーニングしてもさほど増えないのです。


 一方で、有気的代謝はトレーニングによって後天的に結構改善されます。


 走行時のストライドはほとんど走行スピードに依存し、走行スピードはその人の有気的代謝に依存します。つまり、ストライドを伸ばすのに最も良い練習は中強度の持久走です。


 ですが、やはり筋力が全く関係ない訳ではないので、スキップやバウンディングなどの補助的練習に取り組むことによってストライドが伸びやすくなるのは事実です。一般論として、女性よりも男性の方がゆったりと走るのは最大筋力は男性の方が高く、楽にストライドを伸ばせるからです。


 ですから、結論をまとめますと優先順位は非常に低いけれども、補助的トレーニングとして(例えば週に2回、低強度走の後に50Mのバウンディングを2,3本、あるいは50Mのスキップを2,3本あるいはその両方)を導入しておいて損はない、ただし、やっている人とやっていない人の間に有意な競技力の差があるとは言い難いといったところです。


 トップのトラックランナーは極めてレースペースが短距離のレースペースに近づくので何らかの筋力トレーニングをやっている人がほとんどです。


 一方で、ハーフマラソンランナーやマラソンランナーはやる人は減ります。バウンディングやボックスジャンプなどのトレーニングはレースペースが遅くなればなるほど優先順位は下がります。以上の理由から私が指導する高校生にもほとんどやらせません。土台作りの時期に基礎体力作りとしてちょっと取り入れるくらいです」


 いかがでしたでしょうか?


 参考になりますと幸いです。



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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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