先日のメルマガで家が貧しく学費が払えなくて学校に通えなくなってしまったヴィーナスちゃんの学費を払い、再び学校に通えるようになったとのお知らせをさせて頂いたのですが、その後ウェルビーイングオンラインスクールの受講生様道下秀樹様より「池上さんはそのような慈善事業にも携わっておられるのですか?微力ながら、何か僕にもお手伝いできることがあればと思ったので、詳しいお話を伺っても良いですか?」とご連絡頂き、昨日ズームにて色々とお話をさせて頂きました。
その結果として、ご指摘いただいたのは、ウェルビーイングとしてライオンズというチームを作り、ケニア人選手の育成に取り組んでいるその意味などが今までよく分かっていなかったけれど、今日の話でよく分かった、そういう事なら他の人にも伝えて活動の輪を広げていった方が良いのではないかとご指摘いただきました。
そんな訳で、今日は皆様に、私のアフリカでの活動とこれからの理念を共有させて頂きたいと思います。何か大きな意義ある活動に自分も参加してみたいとか、なかなか仕事や家庭もあって自分で先頭切ってという訳にはいかないけれど、少しでも何か有意義な活動の一助を担いたいという方は是非今日のブログを最後まで読んで頂きたいと思います。
初めにはっきりと書いておきたいのは今私が行っている活動は別に私自身は慈善活動と思ってやっている訳ではなく、きっかけは頼まれたから始めたというそれだけのことです。ただ、私も頼まれたらなんでもやる訳ではなく、寧ろ興味の範囲は極めて狭く、大抵のことには興味を示しません。
しかしながら、私がケニアの人に何か出来るようになりたいと思ったのには、それなりの理由があります。
先ず初めにケニアという国について説明をさせて下さい。そこには、貧しく恵まれない人たちでは済まされない複雑な事情があります。
先ずは、私もそこまでは詳しくはありませんが、限られた知識の中から歴史を説明しますと、アフリカやアジアの国々と同じくケニアもヨーロッパの植民地支配を長らく受けていました。ケニアの場合は大英帝国です。そんな訳で、ケニアの公用語は今でも英語とスワヒリ語です。
そして、ケニアという国はヨーロッパ諸国が話し合って、勝手に地図上に線を引いて作った国境線に定められており、49の部族と47の言語が存在します。ケニア人と言えばマサイ族を思い浮かべる方も多いと思いますが、マサイ族が一般的なケニア人かというと全然そんなことはありません。
様々な部族が混在していますが、基本的にはヨーロッパスタイルの生活様式になじみがあると言えるでしょう。ケニアがイギリスから独立したのは1960年のことで、独立からまだわずか60年しか経っていません。
そして、現在のケニアは政治の腐敗と貧困と経済格差、この3つが跋扈しています。先ず一つ目の政治の腐敗から言いますと、この国の政治家は全く持って賄賂が横行しています。もちろん、日本でも裏では色々と汚い話がたくさん動いていると思いますし、東京オリンピックの際には如何にオリンピックが汚いものなのかという事が明らかになりました。
しかしながら、日本の場合は一応賄賂をやる方も隠そうとします。裏でお金が動いているのであって、賄賂は悪いことだという認識はある訳です。ところが、ケニアではそれがありません。私がケニアにいる時も、普通に道路に警察がいて、不当に足止めをしてお金を払うと通してくれるようなそんな国なのです。
またケニアは国民の平均年収40万円に対して、大統領の年収が5000万円と世界一大統領の年収と国民の平均年収の格差が大きい国です。また都市部と農村部の格差も非常に大きいです。おそらく、ナイロビの写真をお見せすると度肝を抜くと思いますが、東京とそう大きな違いはありません。
一方で、農村部は見渡す限りの赤土の未舗装の道で、娯楽施設もなければ、水洗トイレも一般的ではありません。ただ、だからこそ陸上競技が強いという利点もあります。また、日本ではお金がないと何もできないのに対し、ケニアの農村部では、とりあえず食べ物は手に入りやすいので、一般に思われているほどは貧しくはありません。
ただ、それでも最近は都市部の経済発展に伴ってお金が大きな意味を持つようになり、徐々に農村の生活が圧迫されてきているのが現状です。ところで、一言で国が貧しいと言いますが何故貧しいのでしょうか?
日本人からするとアフリカが貧しいのは当然だと思われているでしょう。しかし、何故でしょうか?改めて考えてみると何故と答えられないのではないでしょうか?
私もケニアの経済産業省の大臣を務めている訳ではありませんので、細かいお金の動きまでは分かりません。ただ、庶民感覚で断言できるのはチャンスがないということです。雇用もないし、教育も行き届いていません。
だから、人生にチャンスがありません。そして、彼らにとって唯一のチャンスがランニングです。走ることが人生で唯一のチャンスなのです。
だから、走ることをやめろ、走ることを諦めろと言う事は、彼らに人生を捨てろ、人生を諦めろと言っているのに等しいのです。だから、知り合いから選手のサポートをしてほしいと言われた時に断れなかったのです。とは言え、それを完全に慈善事業にしてしまうと活動自体が長続きしません。
どれほど、崇高な理念があってもお金儲けが出来ない活動は長続きしないのです。これを私は「世界最強のクラブチームを作る」という理念の下で立ち上げたアラタプロジェクトの一期生として目の前で見ていました。良いメンバーが集まってきましたが、求心力を持たずに結局数年で消滅してしまいました。
また、別のブログ記事で詳しく書きたいと思いますが、実は実業団の限界を叫ぶ声も実業団の指導者から出てきています。だから、従来の方法では上手くいかないのです。そこで私が始めたのが、ライオンズの選手から我々も何かを学びつつ、弊社の収益をケニア人選手の育成にあてるということです。
重ねて書くようですが、お金儲けの出来ない活動は如何に理念が崇高でも長続きはしません。だからこそ、慈善活動ではなく事業としてやっていく所存であります。
そして、そんな折に頼まれたのが、学費が払えなくて学校からしめだされた子供がいるから助けてくれないかという声でした。これは事業にするのは無理でしょうし、どうせ一回きりのことですから、寄付致しました。
そして、偶然にもそんな折に声をかけて頂いたのは、メロンミッションという400人の孤児や障碍者孤児に最低限度の生活(衣食住)と教育を施そうというプロジェクトを運営している方から支援してくれないかという話でした。
これはナクルというライオンズの選手たちがいるイテンから車で5時間ほど走らせたところにある町です。これも話を聴いてみると、少し厳しいと感じました。何故ならば、今のところ寄付とボランティアで運営をしているからです。ですが、お金儲けの出来ない活動は立派な理念があっても長続きしないのです。
下の動画のJames kagame氏こそが私にメールをくれた張本人です。
実際に、かなりの負債を抱え、なかなか最低限度の衣食住がいきわたっていない状態です。それでも、そこに入ってくる子供たちはホームレスでゴミ拾いをしてそのごみを売ってわずかなお金で何とか生きている子供たちですから、ないよりはマシです。
ここまでの話を読んで中には「日本でも7人に1人の子供が貧困にあえいでいるのに、何故地球の反対側のプロジェクトに興味を示すのか」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
日本の場合、この7人に1人が貧困というのは相対的貧困なのです。相対的貧困とは周りの子供が持っているようなものを持つことが出来ない家庭のことを指します。
実際に私が大学時代子供の貧困の研究をしていた人が近くにいましたが、今の日本に絶対的貧困に該当する人はほとんどおらず、研究対象は相対的貧困になります。しかしながら、この相対的貧困というのはどこに線を引くのかが一つの研究テーマにもなっており、線引きは明確ではありません。
例えば、習い事に通えないとか年に一回家族旅行に行けないとかも相対的貧困にあたります。ある意味では、習い事に通えるかどうかとか、年に一回家族旅行に行けるかどうかが貧困のラインになってくるという事自体が日本という国の裕福さを感じるところです。
いずれにしても、私の理念はこういった活動の収益化です。結局色々話を聴いてみると、先ず問題点として、活動の継続が困難であることが最大の問題です。
これは寄付する方にもメリットがないので、お金が集まりにくいこと、例え一回は出したとしても二回、三回と出す人はそう多くはないこと、寄付を募っている以上はスタッフもボランティアであるため、人が残らないこと、そして結局子供を育ててもいつかは大人になって施設を出ていくのですが施設を出ても就職先がない、つまり現地の産業がないのです。
この問題を解決するにあたって、施設の人もすでに手をうっていて、手製の革靴を作る工場を作り、施設を出た子供の就職先として用意するとともに、靴を販売して活動資金をねん出しようとしています。
この工場の様子は以下の動画の通りです。
どうでしょうか?
思っていたよりも本格的でお金もかけていると思われたのではないでしょうか?
これに加えて、ランニングシューズを作れないかどうか、そして、継続的な活動にするにはコーヒー豆か紅茶の販売が良いだろうと私は考えています。実はケニアはコーヒーやお茶の名産地です。
英国がブロック経済を引いていた話は有名な話なので、私が説明するまでもないと思いますが、念のために説明させて頂きますと歴史的に言えば、ケニア人を奴隷のように働かせて、不当に安い料金で紅茶やコーヒーを英国本国に仕入れて販売し、多額のお金を儲けていたのです。
ここでは、不当な搾取が行われていたから問題となっていただけで、本来は現地の産業が発展するような形にして、雇用の創出に繋がればベストな訳です。ケニアから日本への輸送費の問題があるのと、きちんと商品化する為のパッケージにしてくれるかどうかが一番の問題ですが、これさえ解決することが出来れば、継続可能な形で活動を継続出来ると思います。
本日私が皆様にお伝えしたいことは、もしもそういった革靴やコーヒー好き、紅茶好きの方がいらっしゃったら、是非購入を検討して頂きたいという事です。重ね重ね申し上げますと、活動を継続できることが重要なので、本当に紅茶やコーヒーが好きな方にご購入いただきたいと思います。
ちなみに、ケニア紅茶の特徴は苦みが強く、ミルクティーに適しているところです。発展途上国あるあるで、お茶を思いっきり甘くして飲み、おやつがわりとかご飯がわりにする地域が結構あるのですが、ケニアでもそうです。現地の人に作ってもらった黒砂糖をたっぷり入れたミルクティーは本当に美味しくやみつきになります。
コーヒーの特徴も苦めの強い味にあると思います。酸味やフルーティな感じはあまりなく、しっかりとした「コーヒー!」を飲みたい方向けのコーヒーです。ちなみに、ケニアではこれも砂糖をたくさん入れて思いっきり甘くして飲むのですが、やっぱり甘いのと苦いので組み合わせが良くなるんです。
今後紅茶の供給者、コーヒー豆の供給者、ランニングシューズが本当に作れるのかどうかということは私が現地に直接脚を運んで確かめて、話をつけてきたいと思います。そんな訳で、今すぐどうこうと言える話ではないのですが、少しずつ活動の輪を広げていきたいと思います。
最後にまとめておきますと、ケニアの人たちに夢をもってもらう、人生に可能性を見出し、前向きに生きてもらうための三大政策として、1他に仕事もなくランニングに賭ける選手たちのサポートをする、2一般的教育を施し、子供たちの将来の可能性を広げる、3雇用の創出に繋がるような産業を開拓し、現地に雇用を創出するとともに、孤児や障碍者孤児に最低限の文化的生活と教育を施すための資金源とするを公約として掲げたいと思います。
そして、その為の具体的な政策として、1会員制限定のランニングの学び場克己会員様の数を増やし、ライオンズの選手の活動資金源とする、またそれに加えてウェルビーイング株式会社の売り上げを増やし、ライオンズの選手の資金源とする、2現地から品質と価格の両面から日本の皆様に満足して頂ける商品の供給経路を確保し、日本の皆様に販売し、その利益を障碍者孤児、孤児の方の施設運営資金とするとともに、生産者、セールスパーソンを育成し、雇用の創出へと繋げていく、これをウェルビーイング党の公約として掲げたいと思います。
因みに、克己会員様限定コンテンツも57本に達し、すでに約10時間分のコンテンツになっております。
そんな訳で、皆様にとりあえずお願いしたいのは、こういったことをちょっと心の片隅においていただくことと引き続き、私のYouTube動画など役立つコンテンツがありましたら、周りのランナーさんなどに紹介して頂けますと最終的に活動の輪が広がっていくのでお願いいたします。
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