皆さん、こんにちは!
現在物理学博士で元カナダ代表ランナーのアレックス・ハッチンソンという方がかいた『良いトレーニング、無駄なトレーニング』(児島修訳)という本を読んでいるのですが、その中からちょっと納得したと言いますか、私の実感とも合致しているなと感じた部分がありましたので、お知らせさせて頂きます。
先ず初めにお尋ねしたいのですが、あなたはHIITやHITという言葉をご存知でしょうか?
ランナーの為の体幹補強DVDをご購入下さった方はもうすでにご存知のはずですが、High Intensive Interval Training(高強度断続的鍛錬法)の略です。一言で言えば、まあインターバルトレーニングなのですが、最近はインターバルトレーニングを我々のように長距離走、マラソンの走力アップを目指す人だけではなく、もっと幅広く健康の増進、より優れた体を手に入れるために使うことが注目されているのです。
私は起業の為の勉強もたくさんしましたが、少なからぬ起業家さんが自分の起業家としてのパフォーマンスを上げるためにインターバルトレーニングをしています。世の中には様々な職種がありますが、仮に提供するサービス内容が肉体労働であったとしても起業家の場合は知的労働の割合が非常に多いです。これは駅伝部の監督が馬鹿だと困るのと同じです。駅伝という肉体を酷使する種目であったとしても、監督に求められるのは知的生産性です。
起業家の場合も知的生産性が求められる訳ですが、やはり一般論的に言えば、ある程度は体調も良い方が集中力も長続きするし、思考も明晰になります。
また、それが見込み客の方や顧客の方を対象としたマーケティング活動、セールス活動であれ、ビジネスパートナーとの商談であれ、従業員に出す業務命令であれ、銀行家への融資のお願いや投資家への出資のお願いであれ、人と話すときにだらしない体をしているよりも引き締まった体の方が説得力があります。
冷静に考えれば、ウェルビーイングオンラインスクールを引き締まった体の人が販売していようが、デブが販売していようが効果は同じです。
ですが、やっぱりおデブさんが販売しているよりも引き締まった体の人が販売した方が売れるのがこの世の中です。
そんな訳で、我々のような長距離走、マラソンが速くなりたいという具体的な目標がある訳ではない一般の人たちの間でもインターバルトレーニングは流行りつつあります。ただし、私達が思い描いているようなインターバルではありません。きわめて短時間のトレーニングです。
一例を挙げますと、30秒間全力で漕いでそのあと4分間休息を4本から6本のような内容です。これだと合計時間が30分に到達しているので、まあまあの分量ではあります。
他の例を挙げると、30秒間全力で走って90秒休息を7-8本のような練習です。これを週に1-3回やるというような具合です。この高強度インターバル練習が推奨され始めた経緯としてはゆっくり長く走るよりも短時間で済むし、効率が良いのではないかという説が出てきたからです。
まあまあ、現代っ子の気質には即しているかなという感じはしなくないです。なんでも時短が良しとされる時代ですから。
ただ、中強度以下のランニングを30分から60分間続けるのと高強度インターバルとどちらが効率が良いのかということに関しては私の中では答えは出せません。その人が運動に何を求めているのかによってだいぶ話は変わると思います。
なので、どちらの方が効率が良いとかということはどうでも良いと言いますか、我々長距離走、マラソンが速くなりたいと思っている人からすれば関係のない話なのですが、興味をもったのはそれぞれのトレーニングが体にもたらした生理的適応の種類です。
西オンタリオ大学の実験で被験者を週に3回30分から60分の持久走をするグループと4分休息を挟んで30秒間のスプリントを4本から6本週に3回実施するグループとに分け、両グループとも6週間トレーニングを続けました。
どちらのグループにおいても脂肪の量が減少し、持久力が向上しました。これ自体は何も驚くべきことではありません。収穫逓減の法則が働くので、何も運動していない人がどんな形でも良いから運動をすれば、大きな効果を得られるはずです。
問題はその持久力の向上をもたらした要因です。30-60分間の持久走を実施したグループでは心臓の一回拍出量が上昇したのに対し、インターバルグループでは酸素乖離能力が高まり、活動筋内での酸素利用能が高まったのです。酸素乖離能力が高まったというのはヘモグロビンから筋肉へと酸素が受け渡されるのがスムーズになったということです。
人間が走る時は空気を吸い込んで肺の中で酸素とヘモグロビンが結合し、血液にのって全身を巡ります。そして、ヘモグロビンから筋肉内にあるミオグロビンという酵素に酸素が受け渡され、そして筋肉内のミトコンドリアという器官の中でエネルギーが生み出されます。心肺機能というと心臓や肺の中でエネルギーが生み出されているような印象を受けるかもしれませんが、実際にエネルギーが生み出されているのは筋肉内のミトコンドリアの中です。
で、私が何に納得したのかということですが、800mからフルマラソンまで中強度の持久走の能力によって走力が決まるというのは前から言っている通りなのですが、だからといってスピード練習が必要ではない訳ではありません。
そして、私の感覚的に、スピード練習が不足していると楽な割には速く走れないのに対し、スピード練習をしっかりとやっていくとハーハー言っている状態で速く走れるようになっていくのです。つまり、スピード練習が不足していると活動筋内で生み出されるエネルギー量が少ないので、呼吸がハーハー言う前にペース的には限界点に到達するのだと思います。
一方で、活動筋内で利用される酸素の量が増えると酸素がバンバン使われてエネルギーが生み出されている訳です。当然、もっと酸素が必要になります。だから、より激しく呼吸が荒れるのだと思います。
基本的には、ペースが上がっても呼吸が乱れないのが良いです。ですが、レースで本当に自分がもっている力を全て出しきれる時というのは限界までハーハー言うくらいまで体が動く時です。体が仕上がっていないと限界までハーハー言うところまで体が動かないのです。
なんとなく、そのことは経験的に知っていたのですが、そういう実験結果もあるんだなと納得した次第です。
ちなみにですが、選手としての経験から言っても、コーチとしての経験から言っても、最終的に必要なのは自分が目標とするレースペース前後の練習でのトレーニングです。このことは当然だと思います。
何故なら、レースで1キロ2分55秒ペースで5000mを走りたいと思うのであれば、自分が1キロ2分55秒ペースで走る時と全く同じ筋肉を使い、1キロ2分55秒で走る際に必要な1秒間当たりのエネルギーと全く同じ量のエネルギーを筋肉内で生み出し、それを体に記憶させることが望ましいからです。
ですから、最終的には短時間高強度の方が効率が良いとかゆっくり長く走るのが効率が良いということではなく、目標とするレースペース、もしくはその前後のペースの練習が最も効率の良い練習となります。
ただし、その比率は全走行距離の5%から10%であるというのが私が過去60年間のありとあらゆる800mからフルマラソンのトップランナー達のトレーニングを分析した結論です。市民ランナーの方はどうしても総走行距離が少なくなってしまうので、その数字に無理やり当てはめる必要はありませんが、理想ではないことはどこかで知っておいた方が良いかもしれません(と同時に、理想じゃなくてもかなり高いレベル、例えばサブエガ、に到達できることも事実です。
また、30-40分の中強度の持久走と200m5本の組み合わせはコスパが最強であるというのも何度も書いている通りですが、この練習は良いところどりの練習であるということがこの実験結果からも言えそうです。
呼吸に余裕がある割には体がついてこないな、脚がついてこないな、動かないなと思ったらスピード練習が不足している、脚は動くけれどハーハー言って呼吸がついてこない、初めから呼吸が苦しいのであれば持久走が不足している可能性が高い、自己分析に是非お使い下さい。
今週金曜日の夜8時よりランナーの為の体幹補強DVD2を500枚限定で販売開始いたします。楽しみにお待ちください。
まだ無料ブログ「長距離ランナーは何故体幹トレーニングをするのか?」をご覧になられていない方は是非こちらをクリックしてお読みください。
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こちらの時計のデザインは以下の写真の通りです。
サイズは(ストラップの長さは)ご自由に調節して頂けます。
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到着次第またお知らせ致しますので、楽しみにお待ちください。先着4名様限定です。
耐水性は10ATM(100m)です。
ブログや講義で常に使われる「余裕がある走りにする」という言葉。インターバルとの関連がいまいち曖昧だったのですが、「インターバルグループでは酸素乖離能力が高まり、活動筋内での酸素利用能が高まったのです」の詳しい説明で納得。ありがとうございました。📗🤓