前回の記事では、セックスについて執筆したのですが、似て非なるものがポルノです。実は、日本は世界の中でもポルノコンテンツに課金している額が韓国についで、第2位です。3位はアメリカです。またポルノは男性が観るものというのももはや過去の話です。今は女性のポルノ閲覧者も飛躍的に伸びている時代で、特徴の一つとしては、男性よりもスマホからのアクセス数が多いということです。ポルノはセックス比べても格段に、脳に悪いのですが、その理由を今から解説していきたいと思います。
先ずは、なぜ人間が未だに飽きもせずに、セックスをしているのかという理由について脳科学の観点から、説明しないといけません。道行く人に「あなたはなぜ、セックスをするのですか」と聞けば、「気持ち良いから」、「子供が欲しいから」、「愛情表現の一つ」という答えが返ってくると思います。ですが、それだけでは答えになりません。現代社会では娯楽に溢れ、価値観やサービスも多様化し、少ない予算で色々な娯楽が楽しめる時代です。にもかかわらず先進諸国の国民に対するアンケート調査では、セックスの効用は大体トップ3には入ります。
また人類が誕生した頃は、まだまだ外敵も多く、頑丈な建物の中にベッドがあって、空調機があってという時代ではありません。野犬や日本狼に襲われるかもしれないのに、何が悲しくて二人で裸になって抱き合わないといけないでしょうか?あまりにもリスクが大きすぎるのです。
また前回の記事でも説明したように、男性の場合は射精は体に好影響を与えるとは言えません。そして射精後、やや虚無感、虚脱感、罪悪感、やる気の喪失などを感じるのが一般的です。それでもセックスをするのは、「気持ち良いから」、「子供が欲しいから」では説明できません。気持ち良いなら、その時気持ちよかったで終われば良い話で、次もする必要はありません。また子供も欲しい人もいるかとは思いますが、明らかに子作りを目的としないセックスの方が多いです。愛情表現も色々ある中で、わざわざ裸で抱き合わなくても良いでしょう。
では何故、人はセックスをするのかということですが、それは行為の前からすでに気持ちよくなっているからです。男性目線で考えれば、「あっ、なんとかしてこの人を口説き落としたいな」って思っている時から、セックスが終わるまでずっと気持ち良くなっています。気持ちよくなっているという表現が悪ければ、ワクワクしているというか、一種の期待感を感じている時です。
この時脳からはドーパミンというホルモンが出ています。ドーパミンは快楽ホルモンと言われることが多いですが、厳密に言えば、快楽になれそうな気分になるホルモンです。人間は本当の快楽を手に入れたら、そこで行為をやめます。マラソンをゴールし終わった後は、至福な気分に浸っている人がほとんどですが、そこからさらに走りたいと思う人は、普通いません。逆に言えば、そこまで走り続けるのは、走り終わった後に気持ちよくなれそうな気がしているから、走れる訳です。
仕事中毒で働き続ける人もそうです。はたから見れば、そんなにあくせく働かなくても遊べば良いじゃないかと思うのですが、本人はおそらく苦しくもなければ、遊びたいとも思っていません。何故なら、本人は仕事で成果が出るということを考えただけで、幸せな気持ちになるからです。訪問販売や電話営業の天才は全員そうです。成約の瞬間の快感を知っているからこそ、インターホンを鳴らし続け、電話をかけ続けることができるのです。凡人には、無駄な労働に見えるのですが、天才は自分の成約率が他の人よりもはるかに高く、多くのお客様から感謝され、さらに自分の時給がどれだけ高いかも知っているので、ドーパミンがバンバン出ているんです。
セックスの原理も基本的には、同じです。ここで重要なのは実際にその行為をする前から、その行為をした時のことを考えたり、追体験することで、すでにドーパミンが出ているということです。
ただ、このドーパミンはいくらでも出せるわけではなく、総量が決まっています。ドーパミンは厳密に言えば、快楽物質ではなく、動機物質です。ある行動を促す動機となるホルモンです。ですので、基本的には頑張る時に使うホルモンです。ライオンが狩をする時に苦しくても走ることをやめないのは、餌を取れるかもしれないという期待感が苦痛を上回るからです。この期待感がドーパミンです。これは良い方にも悪い方にも働きますが、基本的には頑張る時に、必要だと思ってください。頑張ることは苦痛を伴います。それでもやるのは、期待がそれを上回るからです。自信がない人が行動をすぐに辞めてしまうのは、自分に対する期待感が低いからです。やっても無駄だと思うと、期待が苦痛を上回らないと人は行動を起こしません。
ただ、ある程度はホルモン分泌に左右されます。ドーパミンがしっかりと分泌される状態を維持しておかないと、やる気が出なくなってしまいます。ところが、現代社会ではドーパミン過多の時代になってしまいました。その最たる原因がスマホです。SNSに投稿したり、友達とラインをしたりすると、それだけでドーパミンが分泌されます。ネットサーフィンもそうです。それ自体は問題ではないのですが、問題は2つあります。
問題の一つは、ドーパミンが普段から少量ずつ漏れている状態なので、どうしても本当に頑張りたい時に出せる力が減ってしまいます。全国高校駅伝で毎年上位に入るような強豪校は、全寮制が多く、そういった学校では携帯電話を持つのは禁止とか、ある決められた時間になると、一つの箱に入れて先生が預かるとか、そういった措置の学校が多いです。私自身は、このやり方に全面的に賛成です。大人になれば、外部と連絡を取ったり、様々な情報収集も必要ですが、強豪校の選手はそもそも部活と勉強しかやる暇がない上に、まだ基礎学力もなく、正しい判断もできないので、携帯電話の使用に制限をかけることは非常に理にかなっています。
2つ目の理由は、知らず知らずのうちに依存症になってしまうことです。私も自分で、依存とは言わないまでも、気づいたら、無駄な情報を漁っていることはあるので、基本的には電源を切ります。SNSも情報発信の有効な手段としては、使いますが、情報の受信はほとんどしません。そして、インターネット依存症の人の大半は自分が依存症であることに気づいていません。一つの目安は自分の意志でやめられるかどうかです。大半の人は、3日間くらい携帯電話の電源を切っても生活に支障はありません。少なくとも、休みの日や一日の中の数時間、電源を切っても問題はありません。インターネットのみで稼ぎ続ける私ですら、そうです。
ところが、本人はそうは思っていません。今時の女子高生は返信が1時間遅れただけでも、喧嘩の原因になると聞きますが、私には依存症としか思えません。ただ、これは脳科学的には仕方のないことです。そうなる前に、自分の行動は自分で管理するべきです。
さて、ここまでの説明でなんとなく、お分りいただけたかと思いますが、このインターネット依存症とセックスを掛け合わせたのが、ポルノです。正直に告白しますが、私が禁欲生活中、最も敵視したのが、インターネットです。禁欲のメリットは前回の記事で解説した通りですが、インターネットを使うと、綺麗な水着姿の女性モデルさんやポルノサイトの広告など、自分の意図に反して、性欲を刺激するような情報に常に晒されることになります。インスタグラムだけでも、綺麗な女性の水着姿や露出の多い、運動着の写真は嫌でも目にします。ポルノほどあからさまではなくても、企業が広告宣伝に綺麗な女性や水着姿の女性を登用することは、避けられません。私自身もよく使います。ドーパミンが出るような脳の仕組みになっているからです。
そして、ポルノはもっと極端です。作品も女優さんも男優さんも膨大な数が存在し、無料で次のコンテンツ、次のコンテンツと永遠に進み続けることができます。好みの女性、好みの男性、好みの作品に出会うまで、観ようと思えばいくらでも閲覧できます。ドーパミンが出っぱなしの状態なので、明らかに生産性は低下します。そして、多くの人が本人の自覚のないままに、依存症になっています。もう一度言いますが、今や男性だけの問題だけではなく、女性もポルノ依存症の人がたくさんいます。
もし、自分もそうかもしれないと思うのなら、1ヶ月間ポルノの閲覧を辞めてみてください。今日から1ヶ月間、やめようと思っても辞められないのなら、それは依存症の気があります。
また、性生活そのものにも悪影響を与えており、ポルノにハマる人は往往にして、生身の人間相手では満足感が得られなくなります。これは本題からは外れますが、そういった問題を抱えていて、改善したいのであれば、ポルノは辞める必要があります。その過程において、自分がいかに依存状態になっていったかがわかると思います。たいていの人は1ヶ月やめようと決意して、失敗し、また1ヶ月やめようとして失敗する、それを繰り返しながら、徐々に辞められるスパンが伸びていきます。これは麻薬中毒患者の回復過程に似ています。
さて、今回はパフォーマンスを上げるという観点から考えた、ポルノの話でした。人間の体の基本は、食べ物、飲み物、睡眠です。そこに追加として、セックスも考える必要はどうしても出てきます。これらの内容について、ウェルビーイングを実現するための内容が、詳細に4本合わせて、6時間の動画で解説した集中講義がありますので、下記のURLから一度詳細をご覧ください。
Comments