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執筆者の写真池上秀志

ランニング版大リーグ養成ギプスを紹介します。

更新日:2021年10月16日

 皆さん、こんにちは!ウェルビーイング株式会社代表取締役の池上です。

 突然ですが、あなたは大リーグ養成ギプスというものをご存知でしょうか?『巨人の星』や『アタックナンバーワン』を読んで育った私くらいの世代の人であれば、誰もが知っていると言っても過言ではないあの装置のことです。


 知らない人のために簡単に解説をしておくと、バネの入ったギプスで、自分が動くのと反対の方向に引っ張る力が働き普段よりも余分に力を入れないとその動作が出来ないという代物です。『巨人の星』の主人公の星飛雄馬はこの大リーグ養成ギプスを使って、日常生活でも筋力を強化して、剛速球を投げるピッチャーへと成長していきます。


 これに似た話がドカベンの中にも出てきます。どこの高校か忘れましたが、ガマといういつもマントを着ているピッチャーがいて、「あいつは何故いつもマントを着てるんだ?」と謎に包まれた存在として描かれているのですが、ガマは実は日常生活でも常にダンベルを持っており、そうやって鍛え抜かれた腕から繰り出されるボールは球質が重く、芯でとらえたと思っても外野フライにしかならないという設定の話です。


 昔から人気になったスポ魂漫画には色々あるのですが、それにはある共通点があります。それは、日常生活でも鍛えているということです。生活即ちなんとかという話のものが人気があります。最近になってから人気になった野球漫画の『メジャー』も海堂高校という高校に入学すると、離れ小島に連れていかれて、そこで生活即ち野球という生活を送る訳です。


 因みに全国高校駅伝強豪校や大学駅伝強豪校、実業団選手はさすがにスポ魂漫画には負けるとは言え、これに近い生活を送っています。ご飯は食堂のお姉さんかお兄さんが作ってくれて、その人たちが管理栄養士であるケースも少なくなく、練習が終わるとすぐにご飯が食べられて、専属の治療家の方がいて、門限があって、朝起きる時間は決まっていて、中には寮内にジムがあったり、超音波や酸素カプセルが据え置かれているところも珍しくありません。恵まれた環境の引き換えに選手の管理は徹底しており、息苦しいと感じる選手も少なくはありません。


 こういったスポ魂精神には最近では反発を抱く人も多いです。私はどちらに入るのかはよく分かりません。私にとっては何が嫌かと言うと、強くなるなら、しばりつけてくれても良いけれど、あなたの言うことを聞いて強くなれる保証はあるのか?私の方が正しかった場合にはどうやって責任を取ってくれるんだ?という部分です。まあ、そうは言っても私も指導者も神様ではないので、最終的にはどこかで妥協点を見出すしかないのですが、例えば洛南高校時代に嫌だったのが、理由のよく分からない理由で延々と怒られ続けるミーティングでした。怒られる理由も「緊張感が無い」とか「あの時、どこどこであいさつしてなかったとか」、「記録用紙の字が汚い」とかそういう類の話です。挨拶をしてないと言っても、一日何回でも挨拶している訳で、しかも先輩だけでも20人くらいいますから、一日のどこかで挨拶してない時があっても正直しかたないのですが、そういう理由で延々と怒られます。しかも、連帯責任なので、絶対に誰かはどっかでやらかしているので、絶対に怒られない日はないのです。


 そういうので帰る時間が遅くなると睡眠時間も短くなり、コンディションに影響するので、嫌でした。またチームによっては就寝時刻が10時と決められており、9時50分に点呼があるのですが、そういうのも私は寝られる日には9時とか8時とかもっと早くに寝たいので、かえって迷惑なのです。そういう意味ではスポ魂精神は嫌いです。


 でも、一日の中でどれだけ競技と結びついていられるのかというのは大切なことだと思います。鍛える鍛えないというよりも、出来るだけそのことと結びついている時間を多くとることで、いざ動きだしたときの集中力が違うのです。やっぱり身になることが多くなります。そういう意味ではスポ魂精神は好きです。


 ただ、残念ながら漫画の世界の出来事は漫画の世界の出来事だと思うことも多々ありました。例えば、私は一時期、家から洛南高校まで山を一つ越えて片道18キロを自転車で通っていたことがあります。漫画なら普段の練習に加えて自転車で鍛えた体力で無敵となり、全国高校駅伝でも区間賞を獲得していたでしょう。ところが、現実的には長距離走やマラソンで速くなるのと自転車こぐのとではやっぱり違うんです。


 故障で走れないというのであれば、全く体を動かさないのと体を少しでも動かすこととの差は大きくなるでしょう。ですが、普通に走れているのであれば、走る以外の時間はリカバリーの質を高めることに専念したほうが良いのです。ちょっと自転車をこぐくらいなら、マイナスにならないでしょうし、寧ろ血液循環が良くなって疲労の回復が促進されることもあるかもしれません。


 ですが、山一つ越えてしかも往復36キロを毎日というのはやっぱりマイナスだったと思います。そのように考えると、徒に走行距離を増やすこともこの自転車と同じ結果を生むことになると思います。徒に走行距離を増やすと言っても、私の場合は月間1000kmや1200まで伸ばした結果の結論なので、ほとんどの市民ランナーの方にとっては、伸ばせるなら総走行距離は多い方が良いとは思います。


 ただ、月間1000km走っていてもメインの練習自体はインターバルであり、テンポ走であり、中強度の持久走なので、そういう意味では、ただがむしゃらに総走行距離を増やしても仕方ないのかもしれません。スポ魂漫画としては面白いですが、それで競技力が向上するからは微妙なところです。


 私自身も結論は出せません。マイナスだとも言い切れない気はします。でも断定できることはあります。それはレースとは両立できないということです。月間1000kmをコンスタントに走っていた時期でも、レース期は月間600km程度です。それ以上は走れませんでした。そして、そのレース期というのはトラックレースなら2か月から6週間くらいはある訳です。


 という訳で、ドカベンのように家と学校の往復8キロを走りこんだら、盗塁がバンバン決められるわけではないということです。陸上のスポ魂漫画があるなら、家と学校の往復を走って大会でどんどん結果を出すという設定もありそうですが、実生活ではそのようなことはあり得ません。陸上競技では「目標とするレースの日に、目標とする距離において、目標とするペースで走り切る」ということが重要で、それに向かって努力をしないと意味がないということです。


 因みに毎日腹筋を千回していた時期もあったのですが、それもトレーニング効果としては別になかったと思います。それは今から思えばとかではなくて、やっていた時から「別にこれで競技力が上がる訳ではないだろうな」と思っていました。ただ、自分なりに陸上競技と向き合う時間をどこかでとりたかったのです。勿論、それ以外に練習は一日1-3回していたのですが、それ以外でという意味です。


 さて、そんな訳で、スポ魂漫画が好きな私でもスポ魂漫画の主人公のような生活は送っていません。でも、その中で日常生活で取り入れていてこれは良いなと思ったことがいくつかあります。そのトップに立つのがイメージトレーニングです。このイメージトレーニングをすることで、実際に走った時の感触がかなり変わりますし、また自信が持てたり、やる気がわいてきたりもします。また頭の中でイメージを作ってから走るので、走りだした時にはすでにその日のテーマというものが明確になっています。「今日はこういうイメージで走る」というイメージを作ってその通りに走るというのが楽しいんです。


 また目標とするレースを決めたら、そこで目標とするタイムや順位で走る自分というものを思い描きます。そうすると、日々自分はこれの為に努力しているんだというのが臨場感を伴って感じられるので、練習も楽しくなります。これは一日の中でわざわざそれ用の時間を作ることもありますし、ご飯を食べながらとか、お風呂の中でとか、特に時間を決めずにやることもあります。


 このイメージトレーニングを始めたのは小学生の頃にさかのぼります。実は私は生まれてこの方○○バカに該当する人間でした。今でもそうですが、一つのことにのめりこむとそれ以外のことはどうでも良くなります。最近でこそ、仕事として周囲からどう見られるかというのも意識するようになりましたが、今でも基本的には自分がのめりこんでいること以外はどうでも良いと思う性格です。


 それが、将棋から始まって、次に野球、次に陸上と勉強、それがしばらくは陸上だけになって、今は陸上と仕事です。私がイメージトレーニングを意識的にやりだしたのは野球をやっていたころです。厳密には、小学生の低学年の頃から頭の中で将棋の駒を動かして、授業中も一人で将棋をやっていたのですが、これはイメージトレーニングとは言わないでしょう。


 私がイメージトレーニングをやりだしたきっかけは、野球も将棋みたいに授業中に出来ないかなと思ったことです。因みに授業中でもシャドウスイングをするくらいの落ち着きのなさは発揮していましたが、あんまりやると怒られます。そして、いろいろと調べてみた結果、実際に体を動かさなくても頭の中でイメージするだけで脳の該当箇所には電気信号が流れているという本に出会ったのです。それから、「へぇー、実際にバット振らなくても野球って上手くなるんだな」と思ってからイメージトレーニングを一生懸命にやっていました。


 苫米地英人博士によると、運動神経の発達だけではなく、イメージだけで筋肉も発達するそうですが、これは私から言わせれば嘘です。まあ、やらないよりはマシ程度の効果はあるでしょう。ですから、普段全く運動していない人は、ちょっとでもやるとマシになるのかもしれません。理想の体型に関しては、思い描かないよりも思い描いた方が良いです。身長が2m50になることはないかもしれませんが、引き締まった体を作りたい程度で良いのであれば、それを思い描きながら、トレーニングをした方が理想の体に近づきやすいです。


 ただ、スポーツの場合は実際に負荷をかけないと、特に陸上競技や重量挙げのようにハードウェア=体の機能そのものが重要となる競技においては難しいでしょう。一方で、野球やゴルフのような競技は筋力そのものなどのハードウェアの面も重要ですが、それ以上に重要なのが、その体をどう使うかというソフトウェアの面です。こういう競技においてはイメージトレーニングによって得られる恩恵は大きいでしょう。


 誤解のないように書いておくと、長距離走やマラソンにおいてもイメージトレーニングによって得られる恩恵は非常に大きいです。ただそれでも、イメージトレーニングだけで速くなるのは無理です。


 イメージトレーニングが大リーグ養成ギプスだと言ったら、ちょっと怒られるかもしれません。器具を使っていないわけですから。敢えて器具を使いたいというのであれば、加圧という器具があります。加圧というのは読んで字のごとく、体に圧をかける器具です。どのように圧をかけるのかと言うと、ベルトで巻いて血管を締め付ける=圧をかけるのです。そして、この状態で運動をします。


 そうすると、血管が締め付けられるので、部分的な酸欠が生じます。酸欠が生じるので、中枢神経は実際以上に負荷がかかっていると感じます。中枢神経が負荷がかかっていると判断すれば、適応が引き起こされるので、加圧を使えば、手軽に体に負荷がかけられるという訳です。加圧は行列のできる法律相談所でも取り上げられ、北村弁護士が顔を真っ赤にしながらされていました。


 私自身は加圧をウォーミングアップの時に使っています。インターバルの前なんかには使いませんが、中強度の持久走の前にちょっと体を動かす時に使います。指圧と同じ原理を使うんです。指圧では、一度圧を加えて血の巡りを止めて、指を離すと血が勢いよく流れます。普段以上に血が勢いよく流れるので、この効果で血の巡りが良くなり栄養素や老廃物が勢いよく流れて疲労の回復が促進されるのです。


 これと同じ原理で、圧を加えた状態で軽く体を動かすと部分的な酸欠が生じます。血液を本来もっと流さないといけないのに、流れないのです。その状態を10分くらい作っておいて、加圧を外すと動きやすくなっているという寸法です。


 では、この加圧を使えば、大リーグ養成ギプスのように走るのが速くなるのでしょうか?私はそうは思いません。何度も書きますが、陸上競技の本質というのは「ある決められた日に目標とする距離を目標とするペースで走り切る」ことだからです。そこには「筋肉に圧をかけた状態で」とは書かれていないのです。


 エリスロポエチンやステロイドの注射、禁止された厚底シューズやスパイクシューズ以外なら何を使っても良いから出来るだけ速く走るというのが陸上競技の本質なのです。ですから、加圧を使ってインターバルをすれば速くなるのかと言うとそうではないと思います。


 ただ、皆さんお忙しい中で時間を見つけて走られていると思います。そのような方は例えば、仕事で疲れていて30分間ジョギングする気力しかないという時に、加圧をつけて30分間ゆっくりとジョギングをすれば、山道をゆっくりと走るような効果は得られると経験的には考えています。或いは、強度によっては、締め付けた状態で軽く走ることで終わった後の血液循環が促進され、疲労の回復が促進されるかもしれません。


 或いは大リーク養成ギプス的な使い方をして、日常生活でちょっとしたトレーニング(補強運動として)を取り入れるという意味では、使えます。そういう意味では、充分に現代版大リーグ養成ギプスと言えるかもしれません。


 この加圧トレーニング以外で、日常生活で競技能力の向上をするなら、イメージトレーニングともう一つLLLTの導入です。LLLTというのは600nmから1000nmの波長の光線の組合せで、様々な実験により、私達の体の中のミトコンドリアという器官を活性化させることが示されています。このミトコンドリアが細胞の正常な生まれ変わりや自然治癒力の強さなどを握っており、私自身も心身ともに疲労の回復が促進されるように感じています。結局のところ、トレーニング効果を最大化したければ、リカバリーを最大化するしかないので、適切な食事、睡眠、日光浴、適度の汚れる、そしてLLLTや酸素カプセル、フォームローラー、マッサージガンなど使えるものは使うということが大切だと思います。


 到底スポ魂漫画にはならないと思いますが、陸上競技で結果を出したければ、練習はしっかりと集中したら、あとは睡眠や食事などのリカバリー戦略に集中するのが一番なのです。


最後にLLLTについて

 私がLLLTを使いだしたのは2017年でした。この頃はまだ日本語で書かれた文献はほとんど無く、私自身もベラルーシから取り寄せて使いました。今でも日本語でしっかりと書かれた文献となると、私が無料で配布している小冊子が一番しっかりと書いてあると思います。もし、資料請求を希望の方は下記のURLより問い合わせページに入って、「LLLT」と入力して送信してください。折り返し、資料を送らせて頂きます。こちらの資料は完全無料です。


 また現在はアマゾンでも安価なLLLTが多数販売されています。LLLTは言ってしまえば、ただの光なので、安物だから使えないということはありません。とりあえず試してみたいという方はアマゾンで安価なものを一度お買い求めいただきお試しください。ただ、機械のパワーや照射面積当たりの光子には差があり、現在国産のものを販売しているのはセブスポーツさんと弊社ウェルビーイング株式会社だけとなります。弊社の商品ページから一度ご確認ください。


 長距離走、マラソンについてもっと学びたい方はこちらをクリックして、「ランニングって結局素質の問題?」という無料ブログを必ずご覧ください。





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筆者紹介

​ウェルビーイング株式会社代表取締役

池上秀志

経歴

中学 京都府亀岡市立亀岡中学校

都道府県対抗男子駅伝6区区間賞 自己ベスト3km 8分51秒

 

高校 洛南高校

京都府駅伝3年連続区間賞 チームも優勝

全国高校駅伝3年連続出場 19位 11位 18位

 

大学 京都教育大学

京都インカレ10000m優勝

関西インカレ10000m優勝 ハーフマラソン優勝

西日本インカレ 5000m 2位 10000m 2位

京都選手権 10000m優勝

近畿選手権 10000m優勝

谷川真理ハーフマラソン優勝

グアムハーフマラソン優勝

上尾ハーフマラソン一般の部優勝

 

大学卒業後

実業団4社からの誘いを断り、ドイツ人コーチDieter Hogenの下でトレーニングを続ける。所属は1990年にCoach Hogen、イギリス人マネージャーのキム・マクドナルドらで立ち上げたKimbia Athletics。

 

大阪ロードレース優勝

ハイテクハーフマラソン二連覇

ももクロマニアハーフマラソン2位

グアムマラソン優勝

大阪マラソン2位

 

自己ベスト

ハーフマラソン 63分09秒

30km 1時間31分53秒

マラソン 2時間13分41秒

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