こんにちは、ウェルビーイング池上です。
年末にウェルビーイングマラソンを開催した折に、少し実家に帰っておりました。私の故郷は京都府亀岡市というところです。京都府に住む人間にとって京都というのは京都市のことであり、京都府のことではありません。その理由を私なりに考えてみたのですが、現在の京都府は行政区分上、無理矢理色々な国をくっつけたもので、人文地理的にも自然地理的にも京都とは違うからだと思います。
私の故郷の亀岡市は京都駅から普通電車で30分のところにあります。京都市に入るだけであれば、嵯峨嵐山駅まで10分です。ところが、その間に山をいくつも超えます。しかも山を越えると気候が変わります。亀岡は霧の都とも言われ、冬場は深い霧に覆われます。晴れの日ほど霧が深く、200mトラックの反対側が霞んで見えるほどです。亀岡から京都に行く時、トンネルを越えると急に視界が開け、晴れ渡っています。
また人文地理的にも亀岡はその昔は亀山藩という一つの藩でした。今でこそ、電車や車ですぐに京都まで行けますが、昔は険しい峠を越えていかなければいけなかった上に、亀山藩には亀山藩の城主がいた訳です。とてもじゃありませんが、亀岡は天皇陛下のお膝元とは言えません。その亀山藩主の中でも歴史に名を残したのが明智光秀です。明智光秀が本能寺の変の際に山を一つ越えて京都まで進軍したのですが、その山を越えていくのは私のお気に入りのコースの一つです。たった4キロで300m登るような急坂もあり、走るだけでそれなりに負荷がかかります。
そして、何より私がそのコースが好きなのは美しい自然が見られるからです。
余談ですが、亀岡は四方を山で囲まれている盆地で、別の山を越えると大阪の池田に出ます。大阪の池田は昔ダイエーの陸上部があったところで、中山竹通さんが亀岡に延々と坂が続くコースがあって、そこで脚づくりをしたとインタビューに答えておられます。
さて、私も実家に帰った時にそのコースを走ってきました。猿の一群の中を駆け抜けていくような自然がそのまま残っているコースです。ちなみに私の子供の頃はまだ家の近くまでタヌキや猿が来ていました。今大阪ガスにいらっしゃる廣瀬大貴さんも私と同じ亀岡市出身なのですが、亀岡から来ているということもあって、当時の洛南高校陸上部顧問であった中島道雄先生から猿と呼ばれていました。「亀岡は猿ばっかりか」という中島先生の言葉は今でも覚えています(私は亀岡が田舎扱いされることに抵抗はありません)。
ちなみに廣瀬さんは近畿インターハイのチャンピオンで、箱根駅伝は6区で区間新記録の区間2位、日本選手権1500m2位という洛南高校OBの中でも輝く実績を残しておられる方です。
私はこの年末明智光秀が兵を動かし、進路を変えて「敵は本能寺にあり」と叫んだその場所で、「敵はショートディスタンスにあり」と叫びました。というのも先日「ウェルビーイングオンラインスクール」の受講生の鈴木智仁さんと話していて、話がそっちの方向に進んでいったからです。
鈴木さんは一年とちょっと前に私の「ウェルビーイングオンラインスクール」を受講してから、みるみるタイムを伸ばし5000m18分44秒だった自己ベストは16分23秒まで伸ばした方です。ただ私も鈴木さんもこの結果には不満があります。何故なら、練習を見る限り3000m8分台の力はついているからです。ところが、残念ながら去年10日間走れなかった時期があり、仕上がっていたコンディションは脆くも崩れ去りました。鈴木さんは防衛大学の学生さんです。
ですが、3000m8分台の力があることは間違いありません。やって来たことは絶対に無駄にはならないので、来シーズンは良い記録が出るでしょう。鈴木さんの魅力は何と言っても400mを52秒で走るそのスピードです。私の400mのベストは57秒で、3000mの自己ベストは8分25秒です。ということは、400m67秒ペースで3000mを走っていますから、400mあたり10秒しか余裕がありません。鈴木さんの場合は400m10秒の余裕で3000mを走りきれば、7分45秒というとんでもないタイムが出ます。
もちろん、話はそう単純ではないのですが、3000m8分台は鈴木さんにとっては問題ないでしょう。持久的な練習も地道に積み重ねて800m6本を400mつなぎで2分24秒という練習も何度かやっています。私が、一度鈴木さんに言ったのは「2600mを8分ちょうどで通過してもラスト一周を60秒切って上がれば8分台ですよ」ということです。2600mを8分ちょうどというのはおよそ3:05/kのペースです。ということは、練習では1000mのインターバルは3分5秒で良いわけです。この心理的・肉体的アドバンテージは非常に大きいです。特に心理的なアドバンテージは大きいでしょう。人の後ろについて最後だけぴっと前に出れば良いのですから、余裕を持って走れます。
私の場合は、ほとんどいっぱいいっぱいでスタートからゴールまで走りきります。ですから、勝つときはロングスパートか中盤に揺さぶりをかけてからのロングスパートです。タイムを狙うにしても、最後に大きく稼ぐということはできません。しかしながら、やっぱりペースが速すぎるよりも遅すぎる方がタイムは狙えます。オーバートレーニングほどレースを台無しにするものはありません。でも、最後に大きく稼ぐことはできない。そうなると、ものすごく正確なペース配分が求められます。もうピストルがなる時には目の前に全裸の美女がいても気づかないくらいの集中度合いです。もしくはそれを踏みつけて行ってもなんの良心の呵責も感じないほどのサイコパス状態です。
でも人間の集中力も有限ですから、やっぱり疲れます。望ましいのは最後まで溜めて溜めて最後に集中力を爆発させることです。この点に関しては鈴木さんは絶対的なアドバンテージを持っています。
さて、そんな鈴木さんと先日話していて「私がハーフマラソンを63分17秒で走るにはあとなん年くらい必要か」と聞かれました。5000m14分10秒は必要です。高校生でも一年あればハーフマラソンの距離に順応しますから、そこからさらに一年です。また鈴木さんは現在すでに二十歳を超えています。体ができているので、高校生よりも早く順応するでしょう。
5000m14分10秒と3000m8分台の間を詰めるにあたっては、まず3000m8分30秒を達成する必要があります。このプロセスには2年必要でしょう。3000m8分30秒で走るのに一年、3000m8分30秒から5000m14分10秒へと持っていくのにもう一年、合計3年は必要です。これをショートカットすることは出来ません。さらに言えば、鈴木さんは3000mを8分30秒で走る前に1500mで3分台を出すことが先になるでしょう。なぜなら、鈴木さんは400m52秒という魅力を持っているからです。もしかすると、練習しているうちにこの400m52秒というタイムも上がるかもしれないし、このタイムが上がらなくても1500mのラスト一周をコンスタントに57-58秒で走れるようになるかもしれません。最後の400mと言わなくても最後の300mをコンスタントに43-44秒で走れるようになるとやはり心理的なアドバンテージは大きくなります。1200mを何が何でも3分12秒で通過しないと3分台が出ないというのと、3分15秒で通過しても最後の300mを44秒であがれば3分台というのでは気持ちが全然違うのです。
さて、ここまで話が進んだところで私はハーフマラソンを63分17秒で走る話をしていたのにいつしか1500mの話をしていることに気づきました。少し変な話に思えますが、何も変なことはありません。至極当たり前の話です。陸上界には池上の定理というものがあります。これは21世紀初頭に活躍した池上秀志というマラソン博士の定理で、その定理とは「充分に経済的な走りを身につけて泥臭く有酸素ランニングに取り組んでいれば、倍の距離を一キロ当たり5秒遅いタイムで走りきることができる」という定理です。
もう少し具体的に言えば、5000mを15分ちょうどなら、10000m30分50秒、10000m30分50秒ならハーフマラソンが66分50秒で走れるということです。このタイムを上回るようなら、持久力が非常に優れているということになるし、このタイムを下回るようなら持久力に改善の余地があるか、もしくは遺伝的にスピード型なのかもしれません。大前提として、条件が同じならということは予め述べておきます。
では5000m15分ちょうどの選手がハーフマラソンを65分ちょうどで走ることはあり得るでしょうか?私の答えはノーです。自己ベストが5000m15分ちょうどの選手がハーフマラソンを65分ちょうどで走ることはあり得ます。しかしながら、5000m15分ちょうどの力の選手がハーフマラソンを65分ちょうどで走ることはあり得ません。ほぼ絶対的な確信を持ってあり得ないと言い切れます。この例外に該当する人がいれば、是非お会いしたいものです。
ちなみにかくいう私もこの例外値のギリギリのところにいました。私が初めて10000mで29分台を出した時、5000mの自己ベストは二日前に出した14分43秒でした。迎えた10000mのレース当日は、5000mを14分52秒で通過しました。当然もういっぱいいっぱいです。3分3秒、3分3秒とラップを落とし、7000mの通過が20分58秒でした。ここで私はどうせ無理なら、行けるところまで挑戦しようと思いました。このレースではタイタス・キハラ選手が持つ関西インカレ2部10000mの大会記録29分58秒の更新を目指したのです。
そこから一周を72秒で走ることだけに集中しました。無理なら無理で良いから、とにかく行けるところまで行こうと思ったのです。そこから「あと一周、あと一周、もう一周だけ72秒」と思っているうちにカランカランが鳴って、あとは無我夢中、無事に29分51秒でゴールしました。
こういった経験を持った上で言うのですが、短い距離でタイムを出すということは長い距離で結果を出すための通行手形なのです。短い距離が走れるから長い距離が走れるとは限らない、でも短い距離が走れない選手は長い距離が走れません。これは絶対です。こう言うと誤解されそうですが、私は「練習では量より質が大切」とそんな単純なことが言いたいのではありません。陸上競技は「練習では量より質が大切」と言い切れるほど簡単なスポーツではありません。
実際のところ、たとえ3000mであったとしても持久力はとても大切です。先ほどの鈴木さんの400mの自己ベストと私の400mの自己ベストの話を思い出してください。400mでは鈴木さんの方が5秒も速いのに3000mでは私の方が50秒ほど速いのです。それは何故か?私の方が持久力があるからです。5000mも10000mも持久力がとても大切です。でも、長い距離で結果を出すには短い距離のタイムを上げることが大切です。その基準が先述した「池上の定理」です。あなたも「池上の定理」に沿って自分が目標とするレースの距離で出したいタイムを出すには、短い距離をいくらで走る必要があるのか、計算してみてください。
ちなみに色々な人を見ていて1500m以下の距離になると、またちょっと別という感じはしますが、5000mを越えるとこの数字はほぼ安定します。例えば、マラソンを2時間10分で走るにはマラソンのスタートラインに立った時に5000mを14分10秒で走る力は必須だと思います。
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